いくつかのコンサートホールでは、そのホール常駐の係員(レセプショニスト)がいて、
お客様を笑顔でお迎えし、親切、丁寧に案内してくれます。
係員はお客様にとって、困ったときや意見がある時に訴える最初の窓口になります。
そして、さまざまなご意見に対して、お客様が望んでいることは何なのかを判断し、できる限りお客様が満足できるよう、最善を尽くしています。
しかし、係員はあくまでも案内をすることが業務なので、すべての意見やご期待にそえるわけではありません。
本日は「係員の力ではできない」ことについてお話します。
それは、ずばり
・演奏やプログラムに関すること
・交通機関の遅れに関すること
・施設の設備・構造に関すること
・チケットの配券管理に関すること
・天気に関すること
です。
■演奏やプログラムに関すること
とは、
・アーティストの演奏に満足できなかった
・プログラムの内容に満足できなかった
・予定されていた曲が演奏されなかった
などです。
どんなに優れたアーティストも人間です。調子のよい時もあれば悪い時もあります。
そして、チラシに記載されている曲は予定であって、当日に変更になることはよくあります。ほかにも、ソリストが変更になったり、本番はいろいろなことが起きます。
そのような事態に怒り、係員に暴言を吐いて途中で帰る方もいます。
お客様はお金を払っていらしているので、自分の期待ほどでなければ残念に思う気持ちも分かります。しかし、係員はコンサートの内容についてどうすることもできません。
演奏やプログラムに関する不満は、ぜひアンケートにお書きください。
■交通機関の遅れに関すること
これもよくあることなのですが、
「電車が事故で遅延してしまい、開演時間に間に合わなかった」という事態です。
クラシックのコンサートは、演奏中に場内に入ることはできませんので、このような場合でも残念ながら所定の時間までホワイエでお待ちいただくことになります。
しかし、中には自分のせいではなく不可抗力によっての遅れなので、無理やり場内に入ろうとする方もいらっしゃいます。
その場合は、全力で止めます。
どのような理由があったとしても、時間内にいらしたほかの方々の鑑賞を妨げる行為は防がなければなりません。
しかし、遅延によってエントランスに列ができている状態で開演するということはなく、その場合は開演を遅らせることもあります。
そのために、舞台監督は表の様子をモニターで観察したり、表のスタッフと連絡を取り合って、開演するタイミングを決めているのです。
それでも、開演時間を遅らせるのも限度がありますし、すべての方を待つわけにはいきません。ジレンマですね。
■施設の設備・構造に関すること
例えば、
・エスレーターやエレベーターがない
・お手洗いが少ない
・階段が多い
・座席の配席や扉が分かりずらい
などです。
施設の設備や構造については「そうですよねー」と同情することしかできません。
係員は、そのホールでできる「最善の策」は何かを考えています。
案内の仕方によっては、それらの問題を緩和することができるからです。
初めて訪れるホールであっても、ホールの構造を見れば、きっとこうなるだろうなという人の流れが見えます。
それをクライアントの希望とすり合わせて、提案していくのも係員のお仕事です。
■チケットの配券管理に関すること
・ダブルブッキング(同じ席を複数の人に販売してしまうこと)
・S席なのに見えずらい
・コロナ禍で感染が広がっているのに配席が通常と同じ
係員はチケットに記載されている席へ案内するのが業務で、配席そのものを行っているのは主催者です。チケットの配席は、係員の采配で勝手に決めることはできません。
ですので、配席ミスや席を変えたいといった要望は、担当者に確認を取らなければなりません。配席に対する不満もそうです。そのようなことが起きた場合、係員は急いで担当者につなぎます。
担当者は忙しくしていることが多く、そうこうしているうちに開演時間になってしまうからです。
たまに、怒り心頭で係員にひたすら不満を述べる人もいらっしゃいます。
しかし、気の毒ですが係員は「そうでしたかー」となだめることしかできません。
それよりも一刻も早く担当者に確認を取って、席の変更や払い戻しなど、対応をどうするのか聞いた方が賢明です。
■天気に関すること
天気も係員にはどうすることもできません。
台風などで、交通機関が遅延したり、雨や雪でエントランスが混んだりしても、最善は尽くしますが、それ以上のことはできません。
開場準備を早くして、開場時間を早める努力はできます。
それから、早く出勤して自分が遅れないようにする努力もしています。
以上です。
いかがでしょうか。係員はその時ホールでできる最善を尽くしています。
しかし、係員の努力だけではどうにもならないことも多々あります。
だからこそ、各スタッフ連携をとってコンサートを運営しています。