やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが渦巻き乱反射する、劇場の魅力を語ります。 現在、新しいURL https://ya-bo.hateblo.jp/ に引っ越しを行っています。2023年3月31日にこちらのブログを閉じます。

手すり下のスペースにものを置くことの危険性

みなさんは、
客席の「手すりや手すりの下の台のような部分」に物を置いたことはありませんか?

バルコニー席の1列目や2階席の正面のせり出している部分の1列目などに座ると、
目の前にちょっとした荷物を置くのに「ちょうどよいスペース」が!?

しかし、そこに何かを置いていると、係員が飛んできて注意を受けてしまいます。


なんで!?


f:id:YA-BO:20210825160358p:plain

プログラムが置かれている

 
センターブロックの最前列やバルコニー席の前にある「手すり」や「手すりの下のスペース」は、ちょうどよい荷物置きに見えるため、
この部分にパンフレットやチラシ、チケット、オペラグラス、スマートフォン、ペットボトルなどを置く方は多くいらっしゃいます。

しかし、そのような人を見かけたら係員は「すぐに注意をしに行きます」。

なぜなら、危険だからです。

1階席の手すり下のスペースにものを置いている方にお声がけするのは、
演奏中に落ちて、落下音が響くのを防ぐためです。

しかし、2階席以上の場合はそれに付け加え、下の階(主に1階席)に落とすと、下の階の座席にいた方にけがをさせてしまう恐れがあるからです。


実際に上の階からものを落としてしまう方は、よくいらっしゃいます。
多くは、チケットやプログラム、チラシで、その他にスマートフォンが落ちてきたこともあります。

落とす時間や場所もさまざまで、上演中に落ちたものが下のお客様にあたったこともありますし、舞台上にせり出したバルコニー席から舞台上の演奏者の上に落ちたこともあります。

スマートフォンが、終演間際に係員の近くに振ってきたこともあり、あともう一歩前に出ていたら直撃していたことを思うと、ぞっとします。


■チケットは、小さいし軽いので落として何が問題なのでしょうか?

どんなに軽いとはいえ、高さのあるところから落ちてくると、凶器になります。

なんてことのない紙で、手を切った経験のある人は少なくないはず。
たかがチケットかもしれませんが、たまたま当たり所が悪くて、顔面を切ってしまったり、目を傷つけてしまったら大変です。


私がお声がけをして多いのは、
「○○するために一瞬置いただけです」と言うセリフ。

交通事故のスローガンに
「注意一秒、怪我一生」という言葉がありますが、その一瞬で落としたら、どうするのでしょう?

■コンサートホールは、美しく非日常の空間を提供してくれますが、実はたくさんの危険が潜んでいます。

潜在的な危険性」に気づかせ「事故を未然に防ぐ」のも係員の大切な業務です。

だいたい事故が起きるのは、似たようなシチュエーションです。

日々、そのホールに勤務している係員だからこそ分かる危険をお客さまに知らせて、事故を未然に防いでいるのです。


手すりの下のちょうどよさそうなスペースにモノを置くのはNGです。
ご承知おきください。