「神奈川県立音楽堂」の「前川建築見学ツアーin音楽堂」に参加してきました!
私は、「東京文化会館」や「埼玉会館」を建築した、前川國男の
シンプルだけど趣のあるホールが好きで、特に、コンクリートに木目が付いているのがとても気に入っています。
そんなホールは、
お客さんとして客席にいても、スタッフとして裏にいても、気持ちが高まります。
今回は、同じく前川國男が設計した「神奈川県立音楽堂」の
「前川建築見学ツアーin音楽堂」に参加してきました!
2019年のリニューアルオープンを機に始まったという「建築見学ツアー」。
見学ツアーには、子供向けと大人向けのコースがあり、
私が参加したのは、大人向けの「見学ツアー フルコース(所要時間80分)」です。
事前予約制で、参加費は¥500(資料代・保険料含む)です。
館内のガイドを務めるのは、
「モノとヒトに橋を架ける」をモットーに活動するボランティアグループ bridge
の皆さん。
「神奈川県立音楽堂」には、何度も訪れたことがありますが、今回のツアーで
改めて魅力あふれる建物だと感じました。
今回のツアー概要
・初めにホール内で、諸注意と音楽堂の簡単な歴史の紹介
・舞台上のスクリーンで、音楽堂が出来上がっていく様子を記録した映像を鑑賞
・グループに分かれて、館内をガイドと共に見学
・再び客席で舞台スタッフ(主に音響スタッフ)による音楽堂が所有するマイクの説明
「神奈川県立音楽堂」は「音楽専用のホール」として建てられた、
日本で最初の公共施設です。
開館したのは、戦後9年目の1954年。「経済復興には音楽の力が必要だ」という内山岩太郎知事の思いにより構想されました。
終戦直後、大空襲の傷跡が深く残り生活するのも大変だった横浜に「音楽堂」を建てるなんて、すごい発想。猛烈な反対にあいながらも復興への希望をこめて、実現させたそうです。
90年代には取り壊しの危機を迎えますが、多くの人々の支援により存続、
その後「建設された当時のたたずまいに戻す」をコンセプトに
2018年から約1年に及ぶ改修工事が進められ、2019年6月1日にリニューアルオープンしました。
ガラス張りの明るく美しい、ホワイエ。
天井が階段のようになっているのは、上に客席があるから。
コンクリートの木目は、木の板で作った枠にコンクリートを流し込んでついたもの。
床は、大理石や御影石を砕いてモルタル(セメントと砂を水でねったもの)に混ぜる「テラゾー」という手法で、職人がひとつひとつ手作りしたものです。
次は、普段は封鎖されている、バルコニーへ。
隣接する図書館にも使われている、「ホローブリック」。
口の字型のブロックを積み重ねることで、光や風を取り入れる役割があります。
舞台裏にも入ります。
部屋の真ん中に柱が!?
開館当時は楽屋が2つしかなく、もともと外だった部分に楽屋を作ったそう。
廊下は狭く、階段もかなり急です。
音楽堂のホールは「木のホール」と呼ばれています。
その名の通り、壁も天井もすべて木でできています。
高級感のあふれる華やかなホールも素敵ですが、
「木のホール」は落ち着いた雰囲気で趣を感じます。
開館当時のたたずまいを残すため、改修工事の際も壁を取り換えず、
部分的に修復して使用しています。
よく見ると壁の下の部分が、部分的に修復されているのがお分かりいただけますか?
これは説明されないと気づけませんでした。
靴裏を消毒して、舞台へ上がります。
音楽専用のホールは「オープンステージ形式」と言い、緞帳やステージカーテンがないホールが多いのですが、神奈川県立音楽堂はステージカーテンが閉まるという珍しい作りになっています。
コンサートだけでなく、式典や会議などでも使用するためなのだそう。
うぐいす色のステージカーテンは、
当時の依頼元にサンプルが残っており再現したもの。
このカーテンが閉まって、建築見学が終わりました。