やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが渦巻き乱反射する、劇場の魅力を語ります。 現在、新しいURL https://ya-bo.hateblo.jp/ に引っ越しを行っています。2023年3月31日にこちらのブログを閉じます。

視覚障がい者のサポート「音声ガイドを作成しよう」①

◼️視覚障がい者のサポート「音声ガイドを作成しよう」①



前回の講座で、音声解説に興味を持ち、全6回行われる視覚障がいの方のサポート講座にも参加してみることにしました。本当は、入門講座のみの受講を予定していたのですが、入門講座が興味深かったため、私の知らない領域を探索してみたいと思いました。

■これから6回、講座を受けて私が感じたことや気づいたことをつづりたいと思います。


■視覚障がい者のサポート講座は、全6回で、

 内容:①視覚障がい者の話を聞く
    ②音声ガイドの実例紹介・機材の説明
    ③事前解説をつくる 
    ④本編ガイドを考える
    ⑤誘導の練習 
    ⑥劇場実習 @俳優座劇場(Pカンパニー「はだしのゲン」を視覚障がい者と一緒に音声ガイド付きで鑑賞する)

という内容になっています。

①~⑤までの講座は、青年座で行われ、6回目にあたる⑥は、俳優座での実習とPカンパニーによる「はだしのゲン」の鑑賞です。

実習では、数名の受講生が作成した事前解説を、実際にマイクを通して読むなどの実習が行われます。



レトロな雰囲気の青年座
私は、以前青年座の前を通って別の講座に通っていましたが、その時は、自分が青年座に足を踏み入れることになるなんて思ってもいませんでした。青年座は、なんというか、芸を極める場所というあこがれもあって。自分には、縁のない場所だと思いながら通り過ぎていました。

■ゲストトーク ①視覚障がい者の話を聞く

第一回目の講座で、印象的だったのは、視覚障がいの方のゲストトークです。

今回お話しくださったのは、
・視力を失ったのは60歳を超えてからという、Hさん。
・物心つくころにはほとんど見えなくなっていた(7歳までは色は見えていた)という、Kさん
のお二人です。

お二人とも女性で、楽しそうにお話する姿から快活な様子が伝わってきました。そして、お二人ともすごい特技をお持ちでした。

Hさんは、「サウンドテーブルテニス」という視覚障がいの方のために考案された卓球を模した球技で、東京都の代表選手に選ばれるほど数々の大会で優秀な成績を収めている方!

Kさんは、もともと演劇をされていて、社会人になってから一度は離れたものの、演劇に対する情熱から、現在は図書館で朗読を行うなど精力的に活動されています!

■そして、公演を観に行くとき困難に感じている切実な思いも聞かせていただきました。

・情報難民になっている。公演を選べない。
・行きたいと思っても、ヘルパーのスケジュールを押さえるのが難しい。
・ヘルパーを頼める月の時間数には限りがあり、病院に行くなど生活に必要なことを優先するため、娯楽にさける時間は限られる。
・ヘルパーの交通費やチケット代も負担するため、一回の鑑賞に対する金銭的な負担が大きい。

など。

私は、いろいろな方に劇場に足を運んでもらいたいと思っていましたが、「そうだ、京都に行こう」並みに思い立ってすぐに行けるものではないのだと改めて思いました。そして、劇場にいらした方々は、それぞれに困難がありながらも公演に来てくださっているんだと。

もう一つ、お二人のお話を伺って印象的だったのは、公演を見ているとき、
ほかの人が笑うのに合わせて笑いたいというお話。

舞台の上で視覚的に起きた面白いことは、見えないと何が起きたか分かりません。すると、みんななんで笑っているんだろう?と面白いことが起きても取り残されてしまうとのこと。


一つ一つのお話が、私にとって初めて向き合うお話だったり、生の声を聞いたからこそより考えさせられて、しみました。

そして、初めはお話を聞くのに緊張していた私でしたが、お二人の芯があるけれど和やかでユーモアのあるお話に質問もたくさん出て楽しい時間を過ごしました。

本当は、もっとたくさんのお話があったのですが、今回はこのあたりでレポートを終えたいと思います。