やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが渦巻き乱反射する、劇場の魅力を語ります。 現在、新しいURL https://ya-bo.hateblo.jp/ に引っ越しを行っています。2023年3月31日にこちらのブログを閉じます。

視覚障がい者のサポート「音声ガイドを作成しよう」②

 

■視覚障がい者のサポート講座(全6回)

 内容:①視覚障がい者の話を聞く
    ②音声ガイドの実例紹介・機材の説明
    ③事前解説をつくる 
    ④本編ガイドを考える
    ⑤誘導の練習 
    ⑥劇場実習 @俳優座劇場(Pカンパニー「はだしのゲン」を視覚障がい者と一緒に音声ガイド付きで鑑賞する)


■本日の内容は、②音声ガイドの実例紹介・機材の説明です。

まず、実際に事前解説を聞いてみました。

私は、以前歌舞伎のイヤホンガイドを貸し出す仕事をしていたことがあり、イヤホンを使った事前解説を聞くのはその時以来です。歌舞伎のイヤホンガイドは、視覚障害の方に特化したものではなく、歌舞伎の知識がない人でも楽しめるようにお話の内容や登場人物などについて、解説が入るというもの。

視覚障害の方用の音声解説は、何が違うのだろう?

正直よく分かりませんでした。私は、視覚障害の方用という前に、普通の事前解説すら作ったことがないので、事前解説を聞いて、ただただすごいなーと思うばかり。

■解説の内容

解説の内容は、主に
・全体の構成
・スタッフや出演者
・役の説明(キャラクター、衣装、関係性)
・舞台セット
・演目の中で知っておくべきこと(突然大音量になる場面がある、無言や無音の時間があるなど)
・イヤホンの音漏れに関する注意
など。

この事前解説の作成は、衣装合わせの時の写真を見せてもらったり、通し稽古を見せてもらったりしながら行っているそうですが、お芝居は、本番直前で突然変わることもあるので、直前が一番忙しいとのこと。


■ネタバレはどこまで?

もう一つ話題になったのは、ネタバレについて。
クラシックのオペラやバレエのように、多くの人が内容や結末を分かっているものと違い、お芝居は新作が多い印象があります。その時、どこまで、ストーリーを話してしまうのかは、難しいそうです。

以前、ゲストの方のお話を伺った時に、ネタバレはさほど気にならないという方と、なるべくしないでほしいという意見がありました。

しかし、すべての人に合わせることはできないので、そのさじ加減も含めて託されているのだなと思いました。


■機材の説明

マイク → ミキサー → 送信機 → アンテナ → ラジオ
と思っていたよりも、たくさんの機材が必要なんですね。

ラジオのイヤホンを全て伸ばすと、白く塗られているところがあり、それがアンテナになっているそう。

私の素朴な絵を載せておきます。



■私は、今までさまざまなホールで勤務してきましたが、このような機材を使っているところに遭遇したことがなく、今回初めて知ることがたくさんありました。

演劇のチラシをよく見ると、「音声解説あり」という表記は、ひっそりとしすぎていて探さないと分からないですし、視覚障害でない人には貸し出しを行っていないので、私が体験しようと思っても難しいようです。

 

ほかにも
〇「TA‐net」というサイトに視覚障碍者向けの情報が多く乗っていることや
視覚障害の方に読みやすいメールは、「点字図書館」のメーリングリストを参考にするとよい
ということを学びました。


来週は、早くも事前解説を作るという内容です。




1/80の世界に行ってきました


■遠い世界へ

空港で飛行機を待っています。



「遠くに行きたい」
仕事終わりに思い立って、ここへ来てみました。
空港ってなんだか落ち着きます。

 


最後に海外へ行ったのは、2019年でした。
その時に、初めて海外に1か月滞在するということに挑戦したのですが、トラブル続きで大変でした。その時の出来事もいずれご紹介できたらと思います。




それにしても、本当によくできています。




近くで見ていると、本当にそこにあるように見えます。

 

1階部分の奥まで、しっかり作りこまれています。
よく見ると、ただ人が配置されているだけでなく、それぞれからストーリーを感じ取ることができます。




この中に入りたい。
だけど、できません。

この写真を引きで撮影すると...


これが、ミニチュアの世界なのか…。


■今回は、有明にある「SMALL WORLDS TOKYO」を訪れました。


本日は、閉館時間が早いため、仕事終わりに駆け込みます。



SMALL WORLDSは、2020年6月11日にオープンした世界最大級の屋内型ミニチュア・テーマパーク。ここでは、小さな世界を観察したり、写真に残したり。もう一人の自分を住まわせて物語の世界に入ることができるのです。

私は、もともとミニチュアを作って配信している、Hanabira工房さんやMozuさんのもつ素朴な世界観がとても好きで、動画を見ていました。

しかし、こんな場所があるなんて知らず、偶然近くに来たので、入ってみることにしました。

 



入り口を入ると、何やらトンネルが!
ファンタジーの世界を演出するさまざまな仕掛けが、ミニチュア以外にもあって面白いです。

■ミニチュアへの情熱

EVを上がると、目の前には宇宙に旅立つロケットが!!
一日の内で、決められた時間に飛び立ちます。このロケットは、説明されないと分からないほど忠実に再現されています。

見えているのに見えていない、という私のためにスタッフの方がいろいろ説明してくださいました。




こういう景色をどこかで眺めたことがある気がする。国際線に乗った時、夜にどこかの国の上を通ると家に明かりがともっているのが見えることがあります。

そうすると、日本とは違えど、ここにも人の暮らしがあり、それぞれの価値観や文化、考え方をもって生活しているんだなとしみじみ思うことがありました。

小さな世界を上から眺めていると、そんなことを思い出します。




スモールワールドのミニチュアは、ただきれいに作られているだけでなく、そこに住んでいる人たちの考え方や文化みたいなものを感じるのです。


こちらの白い山の模型は、ボタンを押すと奥のロープウェイが動くのですが、ささやか過ぎてどれが動いているのか初めは分かりませんでした。


館内は、朝の風景と夜の風景を両方見せるために、数分おきに暗くなったり明るくなったりします。



これを作るのにどれだけの時間がかかったのかと思うと、制作した方々の情熱を感じずにはいられません。


模型は、上から見るより横から見ると面白いことに気づき始める。


よく見るとこんなところで、家を建てている。


だんだんと住める気がしてきた。

 


ダンスホールが!
コンサートホールの模型も作ってほしいな。

 

夜の空港。
飛行機が、着陸したり、離陸したり。

ほかにもいろいろなコーナーがあったのですが、閉館まで時間がなかったので、急いで回りました。




途中で解説をしてくださった、スモールワールドのスタッフでもあり、ミニチュアの制作にも関わった方は、ミニチュアに対する情熱があふれていて、ひたすら

語る  語る  語る!

ミニチュアにかける思いを感じました。そして、解説があると、ぱっと見ただけでは分からないこだわりや表現されているストーリーを知ることができて、その表現の細かさに唸りました。



スモールワールドでは、実際にミニチュアを作ることもできます。

小さい丸いふたに地面を敷き、猫や道具を置くという簡単なもののを作成するとうことですが、熱中すると1時間では終わらず、何時間もかけて完成させている方もいらっしゃるようです。


ちなみに、塗料などはすべて小さいお子さんが使用しても害のないものを使用。危険なく楽しめるのも魅力の一つです。





女性のスタッフが制作したという品々。
よーく見ると、魚の形も種類によって微妙に違い、果物の種も表現されていて驚きます。ぜひ実際に見てほしい。


■ファンタジーの世界

コンサートホールにも、時々模型があるのをご覧になったことのある方はいないだろうか。あの模型をスモールワールドのように作りこんだら、どうなるのだろうと私は興味があります。

しかし、スタッフの方いわく、模型とミニチュアは作る趣旨が異なるのだそう。ホールのつくりや全体像を把握するための模型と、細部まで作りこまれたファンタージを楽しむミニチュア。なるほど。



次は、実際に制作してみたいです。


生誕100年朝倉摂展 練馬区立美術館

■生誕100年朝倉摂展@練馬区立美術館

先日、神奈川県立近代美術館葉山にも観に行ったのですが、とても素晴らしかったので、東京の会期にも訪れました。

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雨が降りそうでしたが、ぎりぎりで美術館に到着。
美術館は、西武池袋線中村橋駅から徒歩で3分くらいの場所にあります。

練馬区立美術館は、1985年10月1日に開館し、日本の近現代美術を中心に、斬新な視点・切り口でさまざまな展覧会を開催しています。

神奈川県立近代美術館葉山の時は、時間に追われていたので、今度はゆっくり観覧します。


正面のガラスにこんな素敵な掲示が!
同じコンセプトの展示ですが、会場によってポスターに選んでいる絵やレイアウト、チケットの絵柄が違って面白いです。



入り口の扉には、朝倉さんの絵本の挿絵がプリントされています。素敵だ。



ロビーに掲示されている大きなポスターの絵の色と壁の色が絶妙にマッチしております。練馬区立美術館は、スペースの関係で、朝倉さんの作品が一階と二階の両方に展示されていました。

同じ作品のはずなのに、場所が違うと絵の雰囲気も変わってくるなーと思いました。また、前回見たからこその発見もあってゆっくりと楽しむことができました。


 

【湘南台文化センター市民シアター】こんな劇場見たことない!?円形ゆえの魅力と工夫が光る市民シアター 後編


■ミニコンサートの舞台仕込み見学

バックステージの見学が終わると客席で「解説付きの舞台仕込み見学」がありました。まっさらな状態からの仕込みではないのですが、この仕込み見学は、参加者に分かりやすいように説明をしながら一つずつ行われ、ともに面白かったです。


この日のために、入念な仕込みの練習があったに違いない。と私は思う。

ほとんどなにもない舞台に、


グランドピアノが運ばれてきます


サスライトを長い棒で、ピアノに光があたるように調整


そして、市民シアターの最大の特徴であり、世界で唯一の機構であろう、はねあげ舞台が上がる様子も見せていただきました。

舞台の明かりが暗くなり、ドラゴンクエストの音楽に合わせて、4枚の板が跳ね上がっていきます。跳ね上がっていくの舞台の下からは、1枚1色カラーの照明で照らされて、市民シアターのみなさんのこの演出にかける情熱を感じました。

↑ 舞台が跳ね上がったところ

ジョーゼット(白いカーテンのような幕)が下りてきました。これは、手動で操作しています。


■さまざまな照明

次にさまざまな照明の「名称」や「役割」を1つずつ説明してくださいました。
これは、とても分かりやすく感動しました。

最後は、舞台がいろいろな色に変化!



クラシックのコンサートでは、ポップスのコンサートのように照明がいろいろ変わるということはないのですが、バックステージで紹介された照明をフルに使い「全部乗せ」なステージでした。



■リハーサル見学

仕込み見学が終わると、受付でもらったチケット記載の席に移動&休憩時間。その間にいつの間にやらリハーサルが始まりました。

市民シアターは、演劇向けのホールですので、クラシック音楽(スピーカーを使わずに生の音・響きを届ける)のコンサートには、適していません。

そのため、マイクで音を拾ってそれを限りなく自然に客席に届けるためのシステムが備わっているとのこと。それでも、自然に出せば音の飛ぶクラシック専用のホールではないので、マイクの位置など難しいんだなーと思いました。


■夏の午後のミニコンサート


そのあとは、神奈川県出身の3名のアーティストによるコンサートがありました。
このコンサートは、0歳から入場できる1時間のコンサートで、バックステージツアーに参加した人は、参加費に入場料が含まれています。


■今回のバックステージツアーは、私にとって初めて目にするものが多い、とても新鮮なツアーでした。

1つのグループにつき、参加者が20名くらいで、案内人がスピーカーをつけて案内をする方式でしたが、劇場が狭いため、列になって進まなければいけない場所が多く、後方の人々がたどりつく前に、説明が終わっていたということがたびたびありました。

私は、ほとんど後方にいたので、説明がほとんど聞けていない疑惑!?

しかし、それを見越してか、今まで訪れたホールにはない、「貼り紙タイプの説明」があちらこちらに貼ってあり、それが説明を補ってくれました。(たぶん)



この貼り紙は、本当にいたるところに貼ってあり、名称のみのものもあれば、豆知識や基本的な情報もあって、作った人すごいです。

市民シアターのバックステージツアーは、大人が参加しても専門的なお話や一つ一つの説明が細かく情報量が多いので、大人向けのツアーもやってほしいなーと思いました。

今回も楽しかったです!

 

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【湘南台文化センター市民シアター】こんな劇場見たことない!?円形舞台の魅力と工夫が光る市民シアター 前編

湘南台文化センター市民シアター バックステージツアー&夏の午後のミニコンサート♪ に行ってきました。


■厳選なる抽選

この度は「湘南台文化センター市民シアター
バックステージツアー&夏の午後のミニコンサート♪」に
お申込みいただきまして、ありがとうございました。

応募者多数の為厳選なる抽選の結果
ご参加いただける事が決定致しました
当日、会場受付にて参加費(1,000円)を参加人数分
お支払いください。


という熱いメールを受け取り、いざ「湘南台文化センター市民シアター」へ!

湘南台駅



シアターの最寄り駅「湘南台駅」の地下広場に着くとこんな素敵なパブリックアートがありました!

調べてみると、この空間はアートを活用した地域交流スペース「湘南台駅地下アートスクエア」として2022年4月26日に誕生し、幅25mのこの壁画はそのシンボル。湘南台在住の画家・廣田雷風さんが「郷土に捧げる讃歌」をテーマに描いたもの。


多くの人が利用する湘南台駅に、「人々の心の拠り所となるような、わくわくする空間・心豊かになる空間を創り出したい」と始まった湘南台アートスクエアプロジェクト。そのプロジェクトにぴったりな、繊細で優しくてエネルギーを感じる壁画だと思いました。

この広場のために寄贈されたグランドピアノもあるということですので、今後は駅で演奏を聴ける機会が増えそうです。いいなー。

■駅から藤沢のプロジェクトにほっこりしたところで、シアターに向かいます。

!?

なにやら向こうに銀色の光るオブジェがあるなーと思っていたら、どうやらこの建物が湘南台文化センターのよう。青い空とマッチしてひときわ輝いて見えます。

湘南台文化センターは、複合施設でいろいろな施設の入り口があるので、どこが市民シアターなのか迷い、危うくプラネタリウムに入りそうになりました。

■こんな劇場観たことない、円形の市民シアターへ潜入。

このシアターは、
・1990年7月に竣工
・座席数 600席
・演劇用(クラシック専用のホールと異なり、セリフなどが聞き取りやすいように響きが押さえられている)の劇場です。



また、
・建物が球体で
・客席は、扇型(舞台を要として客席が扇を広げたような形になっている)
・舞台の中心に半円の舞台がせり出し
・舞台には中央から割れるタイプの黒い緞帳がかかっています。
・場内は、黒でおおわれ、機材や柱などはむき出し
ところが特徴的だなと思いました。




(サイトより引用)
客席図を見るとこんな感じ。

(バックステージツアー冊子より引用)

そして、最も大きな特徴は、中央の直径10.6mの円形舞台を残して周りの床が跳ね上がることでしょう。↑

す、すごい…。

劇場内が全て黒で覆われた直方体の劇場は、ブラックボックス型と呼ばれよく目にします。

しかし、この劇場のように舞台が半円になっていて、天井が高く、舞台だけが木の色をしているのは珍しい。

私が、普段クラシック音楽のコンサートに関わることが多いので、演劇などが主な劇場に慣れていないということもあると思います。しかし、今までさまざまなコンサートホールや劇場を訪れてきましたが、このような劇場は初めて見ました。


■ツアーの内容はこちら↓


この冊子は、市民シアターの説明だけでなく、舞台の基礎知識や照明についても詳しく書かれており、とても勉強になります。作成した方、ありがとうございます!

■受付をした後は、客席に集合します。まず、諸注意や劇場について簡単に説明を受けます。そして、場内を暗転させて見せてくれたのは、劇場の天井です。


なのというか、メカニックな感じです。球体の建物なので、天井も丸い。そして、さまざまな機構がむき出しになっています。

■次に舞台の上へ

市民シアターには、2つのセリがあります。
・舞台前の半円にせり出した「オケ迫り(前迫り)」
・舞台側の「大迫り」

この二つの「迫り」の特徴は、多くの劇場は長方形なのに対し、「半円形」をしていることです。

 

前迫りの昇降を見学した後、我々も迫りに乗り込みます。大迫りの乗るとこんな感じ。↓




奈落へと引き込まれていきます。


■バックステージへ

A・Bの2グループに分かれて見学します。
機材の置かれた場所。

 ところ狭しとさまざまな道具が並んでいます。

 

この劇場のバックステージツアーは、あちらこちらにラミネートされた、場所や道具の名前、使い方など説明の紙が張り付けてあり、分かりやすかったです。この工夫もこの劇場で初めて見ました。豆知識が書かれているものもあり、分かりやすい。これを集めた冊子も欲しい!!

 

フォトスポット↑

■楽屋




建物が円形なので、楽屋も円形になっています。




よく見ると入り口側は広く、部屋の奥に行くにしたがって狭くなっていることがお分かりいただけますでしょうか。

■リハーサル室


このお部屋は、リハーサル室。リハーサル室には、舞台で使われるさまざまな照明機材が置いてあり、紹介していただきました。展示が工夫されていて、照明の知識がなくても視覚的に楽しめます。



照明のレンズに自由に触ったり持ってみることができます。レンズに触ったのは初めてです。意外と重い。照明のレンズにもいろいろな種類があるなんて知りませんでした。

照明の中に絵や模様が書かれたネタを入れると、ねこがたロボットと思われる模様が映し出されます。
バックステージツアー用に作られたネタは、スタッフの熱い思いと個性が表れて面白いので、いくつか集まったら、まとめてブログで公開したいです。

ほかにも、


なんだこれは!?後光のような光を放つ照明など、さまざまな照明を実際につけて見せてくれました。


 


詳細については、入り口で配られた冊子にも詳しく載っています。



■調整室

スタジオとロビーを通って、調整室に向かいます。


この螺旋階段を上ると



調整室がありました。



ここから眺めると、

劇場全体が見渡せます。
手前には、照明のブリッジが降りています。

窓にカーテンがかかっているように見えますが、緞帳です。

■舞台の後ろの通路へ

舞台の後ろの通路には、円形の建物ゆえに場所の確保が難しいそうで、さまざまな機材が所狭しと並んでいます。そこに「綱元」と呼ばる、幕などを操作する場所もありました。

 


狭いので、一列になって進みます。(ほかの参加者が写っているので、ぼかしと文字を駆使して隠しています。見えずらいですが、こんな雰囲気です。)

こんなところにピアノ庫が!!
三角形の部屋にグランドピアノが、ちょうどよく収まっています。

■カーテンコール体験


最後は、全員舞台の上に乗ってカーテンコールの体験を行います。カーテン(緞帳)が開いて、閉まります。

ほかの劇場のバックステージツアーでも、役者の気分が味わえるような演出はいつくかあって、迫りを使って奈落から舞台上に登場したり、拍手で舞台に上がったり、照明をカラフルに当ててくれたり。ですが、緞帳の開閉を伴うカーテンコール体験は、今回が初めてでした。

私は、役者の気持ちが味わいたいという気持ちは薄いのですが、カーテン(緞帳)が開いたり閉まったりすると、なんだか新鮮だなと思いました。拍手の演出はあまり好きではないのですが、今回は違和感がなかったです。慣れてきたのかな。

私は、多くの場合クラシックのコンサートに出演することが多かったので、舞台でカーテン(緞帳)が閉まって、客席と舞台が分かれるという体験は貴重で楽しい体験でした。

今回は、拍手の録音を流していましたが、カーテンが閉まる前に録音が終わって、しーん。あ、拍手終わった…。まだ、閉まりきってないのに…。

そんなこともありつつ、バックステージ見学も終わり、次は、ミニコンサートのための舞台仕込み見学とミニコンサートです。

この舞台仕込み見学は、市民シアターのコンパクトさを逆手に取って魅力を凝縮した、大変勉強になるとともに見ごたえのあるものでした!

■後編 ミニコンサートへ続く

 

 

視覚障がい者のサポート「音声ガイドを作成しよう」①

◼️視覚障がい者のサポート「音声ガイドを作成しよう」①



前回の講座で、音声解説に興味を持ち、全6回行われる視覚障がいの方のサポート講座にも参加してみることにしました。本当は、入門講座のみの受講を予定していたのですが、入門講座が興味深かったため、私の知らない領域を探索してみたいと思いました。

■これから6回、講座を受けて私が感じたことや気づいたことをつづりたいと思います。


■視覚障がい者のサポート講座は、全6回で、

 内容:①視覚障がい者の話を聞く
    ②音声ガイドの実例紹介・機材の説明
    ③事前解説をつくる 
    ④本編ガイドを考える
    ⑤誘導の練習 
    ⑥劇場実習 @俳優座劇場(Pカンパニー「はだしのゲン」を視覚障がい者と一緒に音声ガイド付きで鑑賞する)

という内容になっています。

①~⑤までの講座は、青年座で行われ、6回目にあたる⑥は、俳優座での実習とPカンパニーによる「はだしのゲン」の鑑賞です。

実習では、数名の受講生が作成した事前解説を、実際にマイクを通して読むなどの実習が行われます。



レトロな雰囲気の青年座
私は、以前青年座の前を通って別の講座に通っていましたが、その時は、自分が青年座に足を踏み入れることになるなんて思ってもいませんでした。青年座は、なんというか、芸を極める場所というあこがれもあって。自分には、縁のない場所だと思いながら通り過ぎていました。

■ゲストトーク ①視覚障がい者の話を聞く

第一回目の講座で、印象的だったのは、視覚障がいの方のゲストトークです。

今回お話しくださったのは、
・視力を失ったのは60歳を超えてからという、Hさん。
・物心つくころにはほとんど見えなくなっていた(7歳までは色は見えていた)という、Kさん
のお二人です。

お二人とも女性で、楽しそうにお話する姿から快活な様子が伝わってきました。そして、お二人ともすごい特技をお持ちでした。

Hさんは、「サウンドテーブルテニス」という視覚障がいの方のために考案された卓球を模した球技で、東京都の代表選手に選ばれるほど数々の大会で優秀な成績を収めている方!

Kさんは、もともと演劇をされていて、社会人になってから一度は離れたものの、演劇に対する情熱から、現在は図書館で朗読を行うなど精力的に活動されています!

■そして、公演を観に行くとき困難に感じている切実な思いも聞かせていただきました。

・情報難民になっている。公演を選べない。
・行きたいと思っても、ヘルパーのスケジュールを押さえるのが難しい。
・ヘルパーを頼める月の時間数には限りがあり、病院に行くなど生活に必要なことを優先するため、娯楽にさける時間は限られる。
・ヘルパーの交通費やチケット代も負担するため、一回の鑑賞に対する金銭的な負担が大きい。

など。

私は、いろいろな方に劇場に足を運んでもらいたいと思っていましたが、「そうだ、京都に行こう」並みに思い立ってすぐに行けるものではないのだと改めて思いました。そして、劇場にいらした方々は、それぞれに困難がありながらも公演に来てくださっているんだと。

もう一つ、お二人のお話を伺って印象的だったのは、公演を見ているとき、
ほかの人が笑うのに合わせて笑いたいというお話。

舞台の上で視覚的に起きた面白いことは、見えないと何が起きたか分かりません。すると、みんななんで笑っているんだろう?と面白いことが起きても取り残されてしまうとのこと。


一つ一つのお話が、私にとって初めて向き合うお話だったり、生の声を聞いたからこそより考えさせられて、しみました。

そして、初めはお話を聞くのに緊張していた私でしたが、お二人の芯があるけれど和やかでユーモアのあるお話に質問もたくさん出て楽しい時間を過ごしました。

本当は、もっとたくさんのお話があったのですが、今回はこのあたりでレポートを終えたいと思います。


舞台芸術鑑賞サポート講座 入門

■こんな講座を見つけたので、参加してみることにしました。



「はじめの一歩」「入門編」という専門の人でなくても、誰でもウェルカムな響きに惹かれて参加を決めました。


コンサートホールや劇場に関わる仕事をしている私にとって、鑑賞サポートはとても気になる分野です。しかし、視覚障がいや車椅子などサポートが必要な方のアテンドについては、会社の研修で行われる程度、その研修も簡易的なものです。

実際にサポートを必要としている方、ご本人からお話を聞いたり、サポートのプロから指導を受けているわけではありません。(あくまでも私の所属する会社の場合)

コンサートは、多くの方に楽しんでほしい。ですが、係員の技術や人員にも限界があります。そもそも私達の提供しているサポートは、彼らの役に立っているのか?

本当はどう思っているの?もやもや。

そんなときに偶然見つけたのが、この鑑賞サポートの講座。予定も空いている。これは行くしかない!ということで、いざ、「舞台芸術鑑賞サポート講座」へ。

■サポートって何だろう?

早速、会場に向かいます。入門編の会場は、四谷にある「猫の寄り道スタジオ」でした。参加者は、20名ほど(だったと思う)。多くの方が、演劇に関わっている方で、クラシック音楽の畑からきているのは、私だけのよう。

この講座に参加して、まず感じたのは、想定されているのが「演劇」に関わるサポートであるということです。そして、主催する団体側に何ができるのかを学ぶという内容でした。

ここで私は、自分が想像していた内容と少し違うなと思いました。

私の仕事内容・・・来場した方をアテンドする。
この講座の趣旨・・・もっと幅広く、公演の案内から来場までを含めてサポートする。

私は、自分の中にあるサポートという言葉が、サポート=アテンドと考えていたことに気づきました。

私は、自分で公演を企画したり、制作をしたりということはしたことがなく、いろいろな困難を乗り越えてホールにいらした方を、会場内で案内することが主な業務。公演の周知やチケットの予約のしやすさの工夫といった、そこに至るまでのプロセスに対して考えることが日常的になかったのです。


現在、鑑賞サポートのある公演(例えば、点字のプログラムがある・駅まで迎えに来てくれる・音声解説があるなど)は、限られています。「限られた中から作品を選ぶのではなく、あまたある中から自由に作品を選べるようにしたい」という、講師の鯨エマさんのお話が印象的でした。

うまく言えないのですが、今回の講座は、普段私が関わっている公演や業務内容とは別の切り口から学ぶ、とても貴重な機会になりました。

今回の講座を、日ごろの業務にどう生かすか。これからも劇場の新しい可能性を探っていこうと思いました。