■かげたちのみる夢(Remains of Shadowings)
さっそく「かげたちのみる夢」に潜入します。受付(写真の右手)をくぐると中庭があります。
ここが家の入り口、なんだかドキドキします。入ったら出られない…なんてことはないですよね?
学生の頃、失われてゆく江戸・東京の歴史的な建物を移築保存し野外展示する「江戸東京たてもの園」が好きで、年間パスポートも持っていた私。
こういう古民家も好きなのですが、今までと違う様子に恐る恐る。
建物を保存し、最も輝いていたころを再現して資料として展示されている建物とは対照的に、住む人がいなくなってさびれ、廃墟となった様子を創り出した作品。どちらも建物に新しい価値を吹き込む作業なのだと思うがどうなのだろう。
「かげたちのみる夢」は、築100年余りの空き家をまるごと一棟使ったインスタレーションで、冨安由真さんが小泉八雲の短編小説「和解」を題材に制作した新作です。
今回の作品は、古民家のもつ、人が住んでいた気配と冨安さんの創出する世界観と違和感の融合で、特にはしごのたくさんある部屋が面白いなと思いました。
この作品は、鑑賞する季節や時間、天候によって見え方が大きく変わる気がします。また、ほかの鑑賞者がいないときに鑑賞するのが、作品の世界観を最も堪能できるポイントだなと感じました。つまり、この作品を一番堪能できるのは、受付の人なのでは…。
私は、怖い話が苦手なので、正直この作品を見に行って良いものかどうか、迷いはありました。直前まで迷ったのは、わざわざそんな作品を見に行って、気持ちが不安定になったらどうしようという思いがあったからです。
しかし、今は、鑑賞できてよかったと感じています。そして、冨安さんのほかの作品もぜひ見てみたいと興味がわきました。
鑑賞を終えて、もと来た道を戻ります。
しかし、歩き疲れていたので、ベンチで一休み。このような場所で、暮らすイメージがなかなかわきませんが、いずれそんな体験がしてみたいと思っています。さて、この島に来た目的を果たすことができたので、とりあえずは満足。
それでは、港まで戻ります。
と、その時。
!?
炎天下の中、自然に親しみながら、長時間ひたすら歩こうとする私の前に何かが現れま
した。この後ろ姿は、バスです。
後から知ったのですが、先ほどの赤いバスは定期便、こちらの青いバスは臨時便、どちらも¥200。
乗りました。
■ かげたちのみる夢(冨安由真)
場所 34°28'05.7"N 134°04'23.9"E
〒761-4663 香川県小豆郡土庄町豊島甲生722
開館時間 9:30-16:30
休 業 日 火曜
展示会期 2022夏会期~
料 金 300円
次回、豊島(てしま)美術館へ。