やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが渦巻き乱反射する、劇場の魅力を語ります。 現在、新しいURL https://ya-bo.hateblo.jp/ に引っ越しを行っています。2023年3月31日にこちらのブログを閉じます。

【朝倉彫塑館】ハウルの動かない城!?朝倉文夫邸がすご過ぎた

劇場探検が好きな私ですが、実は建築物の探検も好きです。本日は、みなさまにぜひ、ご紹介したい物件を見つけましたのでご紹介します。


本日の物件は

東洋のロダンと呼ばれた、彫刻家:朝倉 文夫(あさくら ふみお、1883年(明治16年)3月1日 - 1964年(昭和39年)4月18日)のアトリエと住居であり、彼の最大の作品でもある「朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)」です。

朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)




朝倉文夫は、二人の娘

舞台美術家・画家:朝倉 摂(あさくら せつ、1922年7月16日 - 2014年3月27日)
彫刻家:朝倉 響子(あさくら きょうこ、1925年12月9日 - 2016年5月30日)

も著名な芸術家で、私は、こちらの二人の作品を目にすることが多く、どちらかというとこの二人が育った家に興味がありました。


私は思うのですよ、世の中には兄弟・姉妹そろって名をのこす人々がいますが、その人たちは一体どんな風に育ったのだろうと。

 

ということで、


いざ朝倉彫塑館へ

朝倉邸は、谷中銀座の近くの閑静な住宅地にありました。朝倉彫塑館(あさくらちょうそかん)の看板を見つけ、歩いてゆくと…。


!?

ハウルの動かない城がありました。

「美術館です」と言われたら、「そうか」と思いますが、住居も兼ねて建てられているとはとても思えない。

そして、男性と謎の彫刻…。

休憩所

朝倉彫塑館の玄関

私は、もっと素朴な家を想像していたので、スケールの違いとただならぬ雰囲気をこれでもかと放つ朝倉邸に、門をくぐる前から圧倒されます。


家の中は、土足厳禁、靴下着用。


いざ、潜入!!


鉄筋コンクリート造のアトリエ棟と木造の住居棟からなる、朝倉彫塑館。
室内は、写真撮影がNGなのでチラシの写真をのせます。

彫塑館内の写真


室内の情景をなんと言い表したらよいか。CGかと目を疑うような光景が広がっていました。

和風の玄関を通ると、1階には吹き抜けのアトリエがあり、数々の彫刻が展示されています。そして、さらに進むと貴重な書籍がうずたかく収納されている書斎、居間、茶室、寝室、ピアノの間。

2階には、素心の間、蘭の間。3階には、朝陽の間。

家の中庭には、風流な「五典の池」があり、鯉さまが優雅におよいでおりました。

同じ中庭の池を見ているはずなのに、見る部屋によって全然違う風景を見ているようです。そして、一部屋一部屋違う表情を見せる室内を歩いていると、同じ建物の中とは思えない…。

子供の頃に読んだ、日本昔話「みるなのくら(再話:おざわ としお・画:赤羽 末吉)」で、蔵を開けるごとに四季折々の風景が広がっていてというお話なんて、絵本の中だけだと思っていましたが、現実にありました。少し違うけど、こういうことなんじゃないかと妙に納得しました。

そして、部屋のネーミングがすごい。「○○の間」なんてお城とかで使うものなんじゃないの?と思うのですが…。部屋をただの部屋、つまり部屋の機能の名前を付けるのではなく、部屋のコンセプトが反映されている。

私もこれからは、自分の部屋にコンセプトネームを付け「○○の間」と呼ぶことにします。

こんな家で育って、そしてこんな家を独創的な家を設計する父親に育てられて、普通の人になるはずがない。姉妹の謎が少し解けました。

蘭の間は写真撮影OK

近代的でお洒落な窓。

屋上庭園へ続く階段。

日本の屋上緑化の先駆けでもある、屋上庭園へ続く階段。今ではビルなどさまざまな場所で採用されている屋上庭園ですが、個人宅で野菜などを育てている家はそうそうないと思います。

「植物の世話を通して土に親しみ、自然観照の目を育むこと、触覚をはじめとする感覚を研ぎ澄ませること」が大切だと考えていた朝倉文夫。彼は、朝倉彫塑塾を開いて彫刻家を育てましたが、「園芸」は必修で、屋上庭園は園芸実習の場として利用されていたそう。

この日は雨のため屋上は封鎖されていました。残念…。


朝倉彫塑館は、ため息が出るほど美しい、そして、想像を裏切る斬新なアイディアの数々。素敵過ぎます。次こそは、必ず屋上庭園へ!!

 

追記:

数日後、一緒に行った友達からのメールで玄関先の男性の銅像について衝撃の事実を知ることになる。彼は腕が動くらしい…。ぞわっ。



■朝倉彫塑館

開館時間    午前9時30分~午後4時30分 (入館は午後4時まで)
休館日    月・木曜日(祝休日と重なる場合は翌平日) 年末年始
入館料     一般 500円(300円)・小・中・高校生 250円(150円)
所在地    〒110-0001 台東区谷中7丁目18番10号
    TEL:03-3821-4549 FAX:03-3821-5225